6.震え寄り添う温度
「あんたたちはおれを苦しめたいのか!?」そんなことは、と反論しようとするけれど、相手はこちらの話をまったく聞いてくれない。怒りでいっぱいになって、それをぶつけることしか考えられない状態みたいだ。鼓膜が痺れるような大声に、全身が委縮してしまう…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
5.旅暮らし
館の居住区の方へはまだあまり行ったことがなかったので、進んでその仕事を請け負った。何人かを訪ねて、回答をもらってくるのがその内容だ。館は大きい。迷ったときには近くにいる人に訊ねて、なんとか全員のところを回り終え、食堂で一息つくことにした。こ…
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4.理想の人
ここには、いろいろな事情を抱えた妖精が相談に来る。造物系の力がなく、人になれないので館で暮らさざるを得ない妖精、人にはなれるけれど、人間社会に慣れていない妖精。私は主に、妖精が人間社会で暮らせるよう、事情を知る人に縁を繋いだり、新たに受け入…
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3.小さな弟子
廊下に置かれた椅子に、小さな男の子が座っていた。足をぶらぶらさせて、つまらなそうに手をいじり、時折向かいの扉をちらりと見る。きっと、中で彼の家族か誰かが相談中なのだろう。白いふわふわの髪の間から、猫のような耳がぴょこんと映えている。内側の毛…
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2.落書きに痛みを知り
書類を確認していると、无限、の名前を見付けてどきりとした。あの人のことだろうか。それも、一枚だけではない。たくさんの書類の中で、彼の名前が出てくる。彼は執行人の中でも最強と言われていて、様々な問題を解決している。特に戦闘が絡む問題が多いよう…
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1.一目で見惚れ
妖精が人に紛れて暮らしていることを知っている人間は限られている。 私の職場である館は、そんな妖精たちを助けるための場所だ。 今日も、窓口に何人かの妖精が相談に訪れている。 私はまだここに来て日が浅く、雑用をしながら仕事を覚えているところだ…
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