69.海へ
潮風にワンピースの裾が広がる。柵に寄りかかって海を眺める小黒の隣に立って、柵に手をついた。「海だね!」「海だね~」 フェリーに乗って50分。東にある舟山諸島のうち舟山島に向かっている。風が強くて、髪がばさばさになるので手で押さえながら、遠…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
68.困ったお誘い
「それで、僕たちは考えましてね……」 館の食堂で、お茶を飲みながら最近親しくなった妖精と世間話をしていた。彼、朝陽さんは人になれないため館で暮らしている。もう数年になるそうだ。折れた耳と犬のように伸びた鼻が特徴だ。「こうすればいいんじゃない…
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67.龍遊石窟
龍遊石窟は公園の中にあった。入口でチケットを買い、道を歩く。途中、ツアーの一行とすれ違った。彼らにとって、漢服の私たちは珍しかったらしく、ちらちらと視線を感じた。民居苑の方はそんなに人がいなかったので気にならなかったけど、やっぱりそわそわ…
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66.龍遊民居苑
雨桐と一緒に買いに行った漢服に袖を通し、鏡の前で入念に確認する。どこか間違ってないか、なんども身体を捻って背中も確認して、そうしていたら約束の時間が近いことに気付いて慌ててポーチを手に取る。これも漢服に併せて用意したものだ。遅刻しちゃう、…
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65.決めた居場所
「今日のところはいいと思うんですよ」 張り切って深緑さんの前に資料を並べようとしたら、深緑さんは待って、と手のひらを翳して私を止めた。「もういいの。今日はそれを伝えに来たの」「もう……って?」 私は深緑さんの顔を覗き込む。あまりに私の紹介す…
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64.外灘
外灘へは三輪タクシーを捕まえて行くことにした。その座席は大人二人が並んで座ると少し窮屈で、小黒は无限大人の膝に収まった。「狭くないか?」「大丈夫です……」 右側がぴったりと无限大人に密着してしまい、心臓の鼓動が聞こえてしまうんじゃないかと…
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63.豫園商城
庭園を出て、南翔饅頭店で小籠包を食べることにした。上海で一番と有名らしく、行列ができている。「小黒、待てる?」「うん!」 中に入るまで少しかかりそうだから小黒が心配だ。今は元気に返事をしてくれたけれど。思っていたよりは早めに列が動いて、二…
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62.豫園
最近、暖かいというよりは暑いくらいな日が続くようになり、夏が近づいてきた実感が湧く。それなりに歩くだろうからパンツスタイルで、上は涼しいゆったりとした丈の長めのシャツにした。 いつも通り駅前で二人と待ち合わせる。今日は私の方が早かった。時…
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61.思いは溢れて
「なんか、いいことあった?」「え?」 雨桐に食事に誘われて、仕事終わりにレストランに寄った。仕事の話やテレビの話をだらだらとしていたら、ふいに雨桐は姿勢を変えて、これからが本題だと言わんばかりに訊ねてきた。「最近、浮かれてるよ」「そう?」 …
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60.かけがえのない出会い
小香が始めた取り組みは、すぐに全土の館に伝えられた。確かに、いままで共有されていなかった情報だ。これができれば、かなり便利になるだろう。しかし、大がかりなことだから思いついてもなかなか実行に移すのは難しい。そこを動かす鶴の一声だ。一度動き…
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59.君でよかった
无限大人は小黒を私のベッドに寝かせる。小黒はぐっすりで、全然起きなかった。そっと扉を閉めて、リビングに戻る。无限大人が椅子に座った後、私はそわそわしてしまって、お湯を沸かすことにした。「お茶、飲みますか?」「ああ。頼む」 お水をやかんに入…
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58.カレーと笑顔
「これでいいだろうか」 无限大人が見せてくれたじゃがいもはとてもきれいに切れていた。「はい! ばっちりです!」「次は、たまねぎかな」「お願いします」 私が剥いたたまねぎを見付けて、无限大人はとんとん、と軽快にカットしていく。この手つきを見て…
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