90.後悔
二人で出かける、と決めたものの、どこへ行くかまでは考えていなかった。彼女の行きたいところへ行きたいと思っていたから。任せてみると、彼女はショッピングモールを提案した。彼女は最初は遠慮気味だったけれど、次第に楽しそうにウィンドショッピングを…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
89.帰国
「また、連絡してよね」 雨桐に手を振り、キャリーバッグを転がして、エントランスへ向かう。 日本へ帰国する日。準備をしているうちにあっという間に残りの日々は過ぎてしまった。若水姐姐や深緑さん、いろいろな人に挨拶をして回ったら、みんな別れを惜し…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
88.別れ
「もっと、あなたと……過ごせたら……って」 やっとの思いで声を絞り出す。これだけで耳まで真っ赤になってしまう。无限大人は、薄く微笑んだ。「……もう、君は十分学んだよ。向こうで、こちらでの経験を活かして欲しい」 无限大人の声は優しく、突き放す…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
87.勇気を出して
緊張しながら電話を掛ける。数回のコール音のあと、通話がつながった。『小香か。どうした』「あの、お話したいことがありまして」 つかえながら、今度食事をしないかと誘った。无限大人は明日の夜に、と答えた。早い、と決意が揺らぎそうになったけれど、…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
86.伝えたい
「ようやく一段落ついたわね」 雨桐はお菓子の袋を開けながら溜息を吐いた。「目が回る忙しさだったねえ」 私も肩を揉みながら答える。八月も終わりになって、ようやく仕事が落ち着いてきた。「それで、どうなってるの」「何が?」「无限大人との進捗よ」「…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
85.どうして私を
「送っていくよ。小黒を迎えに館に行かなくてはならないしね」 そろそろ帰る時間になって、无限大人はそう言って一緒にホテルを出ることになった。こうして並んで歩くのも、もう当然のようになっているけれど、改めて不思議に思う。无限大人は、どうしてこん…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
84.見つめ返される
「こちらにきて、たくさんのことを学べました。同じ館でも、やっぱりいろいろやり方が違っていて……。すべてを適応することはできないですけど、一部はうちでやったらよくなるんじゃないかってことがありました」 こちらで学んだことを振り返って、帰ってか…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
83.書類の整理
近頃は无限大人は忙しくしているようで、ほとんど連絡が来ることはなかった。八月も後半になって、突然電話が掛かってきたので、何かあったんだろうかとどきどきしながら電話に出た。「もしもし?」『小香か。実は、折り入って頼みがあるんだが』「なんです…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
82.楽しい日々
「わーい! カレーだ!」 小黒はスプーンを持った手を頭上に突き上げて喜びを全身で表してから食べ始めた。そんなに気に入ってくれて嬉しくなる。无限大人も一口食べて、頷いた。「うん、この味だ」「やっぱり、お店の味とは違いますね」 自分で作ったカレ…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
81.アルバム作り
川に行ってから数週間後、小黒と无限大人がうちに来ることになった。カレーを作って待つことにする。煮込んでいる間にインターホンが鳴った。「小香! 来たよ!」 玄関を開けると、小黒が元気な笑顔で入ってきた。无限大人はその後ろに立って、笑みを浮か…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
80.川下り
楠渓江の流れに沿って、竹の船に乗ることになった。无限大人が先に乗り込み、当然のように手を差し出してくる。どきどきしながらその手を取り、慎重に船の上に足を置いた。思っていたよりも安定感があるけれど、縁がないのでひっくり返ってしまわないか少し…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
79.楠渓江
楠渓江があるのは温州市だ。以前、仕事でここの館を訪れて、偶然无限大人と会ったことを思い出す。あのときは五馬街で麺を食べて、江心嶼を散策した。情人島という名前に過剰反応してしまって、あのあとは上手く会話できなくなってしまった。あの頃に比べた…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより