15.結ばれた縁
第一印象、というと、正直に言えばよく覚えていない。楊に紹介されて、わざわざ外国から来るとは仕事熱心な人だと感じた。その後に見かけた勤務態度も真面目で、日本人は彼女のような人が多いのだろうかと考えた。 やはり、あの一件が印象深い。客に怒鳴ら…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
14.知ってしまったから
大通りから少し離れると、かなり人通りは少なくなった。 しばらく無言で、並んで歩く。今日は、期待していた以上のことばかり起こっていて、なんだか心がふわふわしてしまう。お酒のせいも少しはあると思うけれど。 私は、この人のことが好きなんだな………
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
13.火照り冷めず
「日本酒か」 メニューを見ながら、彼がぽつりと呟く。「せっかくだ、試してみたい」「じゃあ、頼みましょうか」 飲みなれた甘口のものを選び、店員さんに注文する。店員さんが下がったあと、少し沈黙が下りた。「あの、お酒は飲まれるんですか?」 話題が…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
12.ツーショット
待ち望んでいた連絡が来て、さっそく日取りを決め、店を予約した。選んだのは寿司屋だ。日本人の店主がやっているお店で、以前食べに来てみたところ日本で出てくるお寿司そのままでとても美味しかった。和食と言えば、やっぱりまずは寿司かなと思う。喜んで…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
11.同盟結成
「はぁ……」気が付いたら溜息を吐いてしまっている。仕事中も、食事をしたときのことを思い出してしまって、胸がいっぱいだった。たくさんのことを話せたと思う。けれど、全然足りない。あれから、まだ連絡は来ていない。次のお休みはいつだろう。いつになっ…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
10.次の約束
届いた料理を、无限大人はさっそく食べ始める。箸の持ち方が綺麗だ。どんな味がするんだろう。彼は美味しそうに食べてる。小さめの一口を齧ってみる。お肉にはよく味が染みていて、齧ると口の中に芳醇な香りが広がった。「美味しい……!」思わず声を出してし…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
9.穏やかな始まり
館を出て街に降りるのはまだ慣れない。日本と似ているけれど、どこか違う風景。聞こえてくる耳慣れない言語。そこで一人で立っていると、少し心細くなってくる。思い切ってこちらに来ようと決めたのは、海外の職場に興味があったこともあるけれど、こちらに住…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
8.理解の一歩
「无限大人、来てるって!」仕事が一段落して部屋に戻った途端、雨桐がそう教えてくれた。私は急いで部屋を出る。无限大人が館に来るのは一か月ぶりだった。 このタイミングを逃したら、次いつ出会えるかわからない。確実に出会えるのは、館の出入口だ。そこ…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
7.意識の端緒
「さっきは大変だったわね」仕事がそろそろ終わるころ、雨桐がそう言って労ってくれた。「力のない人間相手に術を使おうとするなんて、ひどすぎるわ。しかもあなたは関係ないのに」「无限大人が助けてくださったから」「大人がいなかったらあなた死んでたわよ…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
6.震え寄り添う温度
「あんたたちはおれを苦しめたいのか!?」そんなことは、と反論しようとするけれど、相手はこちらの話をまったく聞いてくれない。怒りでいっぱいになって、それをぶつけることしか考えられない状態みたいだ。鼓膜が痺れるような大声に、全身が委縮してしまう…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
5.旅暮らし
館の居住区の方へはまだあまり行ったことがなかったので、進んでその仕事を請け負った。何人かを訪ねて、回答をもらってくるのがその内容だ。館は大きい。迷ったときには近くにいる人に訊ねて、なんとか全員のところを回り終え、食堂で一息つくことにした。こ…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
4.理想の人
ここには、いろいろな事情を抱えた妖精が相談に来る。造物系の力がなく、人になれないので館で暮らさざるを得ない妖精、人にはなれるけれど、人間社会に慣れていない妖精。私は主に、妖精が人間社会で暮らせるよう、事情を知る人に縁を繋いだり、新たに受け入…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより