51.お泊り
館を歩いていると、欄干の上に座る小黒の後ろ姿が見えた。「小黒。何やってるの?」「あ、小香」 小黒はぱっとこちらを振り向くけれど、なんだか元気がないように見える。「どうかした?」「今、師父任務に行ってるんだ」「そっか。小黒、今一人なの?」 …
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
50.家族のこと
「君のところは、家族仲がいいんだな」 いろいろと笑い話を思い出していたら、家族の話が多くなった。それを聞いていた无限大人は、そんなふうに言ってくれる。「そうですね。ごく普通の家庭でしたけど……。両親とも兄弟とも、仲がよかったです」「君が長女…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
49.視線の意味を
「小香」 久しぶりに私を呼ぶ声に、心がふわりと飛んでいきそうになる。「お待たせしました、无限大人」 小走りで駆け寄って、並んで歩く。今日は、小黒は一緒じゃないそうだ。仕事がようやく落ち着いてきて、一息つけるようになったころ、无限大人からまた…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
48.二十六秒の通話
深緑さんの要望を叶えるためには、今のやり方では時間が掛かりすぎる。もっと、たくさんの情報が必要だ。それを集めるために何ができるだろう。数日悩み、これならいけそうだということを思いつき、楊さんに交渉に向かった。「小香、今日はどうしたのかね」…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
47.探し物進まず
「一件は埋め立てたあと、もう一件は近くの山が削られて近くに道路ができてしまった……か」 報告結果を読み、溜息を吐く。カリ館長に探してもらった候補地は、情報が昔のものだとはいえ、なかなか期待が持てそうだと思っていた分、がっかりしてしまう。「ど…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
46.微熱風に吹かれ
彼女は、館に馴染めない妖精のために住処を探すという大仕事に取り掛かっていた。その妖精は、少し前に私が任務で捕えた妖精だった。湖に近づいた人間がその妖精に怪我をさせられていた。殺しまではしていなかったが、人間たちが大がかりな討伐を検討し始め…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
45.江心嶼
お茶を飲み終わって、席を立ち、五馬街を通り過ぎる。バスに乗って、さらに移動した。その先には、甌江が流れている。省内で二番目に大きい川だ。その中に、江心嶼は浮かんでいる。甌江蓬莱と呼ばれる美しい島だそうだ。そこへは、フェリーで移動する。チケ…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
44.五馬街
温州人は商売上手だという話がある。五馬街は、そんな温州最大の繁華街だ。歩行者天国になっていて、車は通れないようになっている。古い町並みを残しながら、新しいものや西洋的なものが混じっている。昔ながらの店があるかと思えば、ファストフード店があ…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
43.手合わせ見学
一通り館の中を見せてもらいながら、経営についてや最近の妖精たちについて話を聞き、とうとう外の広場に辿り着いた。そこではまだ妖精たちが手合わせをしていた。私たちが到着したとき、ちょうど无限大人が灰色の毛皮を持った虎のような妖精と向かい合って…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
42.偶然の出会い
「ふうむ、そうだなあ……」 相談に現れた私に、楊さんも顎を摩って悩んでしまう。「少々、要求が多いんだよなあ……」「そうですねえ……」 ずっと住むことになる場所なのだから、こだわるのは当然だ。けれど、彼女が望むような素敵な場所が、あといくつこ…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
41.共に
「うーん……」 積みあがった本と書類に囲まれて、頭を抱えて唸る。机に突っ伏して唸っていたら雨桐がチョコを差し入れしてくれた。「見つからなそう?」「うん……なかなかね……」 深緑さんの新しい住まい探しは捗っていない。暗礁に乗り上げる……という…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
40.風息公園
動物園から館の近くの駅まで帰ってきて、そこでお別れかと思ったら、空の色を見てから、无限大人が私の方を見た。「風息公園を、知っているか」「あ……はい」 もちろん、名前は知っていた。どういう騒動があったのか、そこに无限大人が関わっていたことも…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより