42.偶然の出会い
「ふうむ、そうだなあ……」 相談に現れた私に、楊さんも顎を摩って悩んでしまう。「少々、要求が多いんだよなあ……」「そうですねえ……」 ずっと住むことになる場所なのだから、こだわるのは当然だ。けれど、彼女が望むような素敵な場所が、あといくつこ…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
41.共に
「うーん……」 積みあがった本と書類に囲まれて、頭を抱えて唸る。机に突っ伏して唸っていたら雨桐がチョコを差し入れしてくれた。「見つからなそう?」「うん……なかなかね……」 深緑さんの新しい住まい探しは捗っていない。暗礁に乗り上げる……という…
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40.風息公園
動物園から館の近くの駅まで帰ってきて、そこでお別れかと思ったら、空の色を見てから、无限大人が私の方を見た。「風息公園を、知っているか」「あ……はい」 もちろん、名前は知っていた。どういう騒動があったのか、そこに无限大人が関わっていたことも…
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39.内緒の話
一通り周って、池の傍に行くと、フラミンゴの形をしたベンチがあった。そこがフォトスポットとなっているようで、人が集まっている。家族連れもいるけれど、カップルの方が目立つかも。 私たちの傍にいたカップルは指を絡め合って、身体を密着させて人目も…
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38.お弁当
動物園の敷地はかなり広い。集められた動物の種類も豊富だ。「小黒は、動物園初めて?」「うん! テレビで見たことあるよ。いろんな動物がいるんでしょ! パンダとか!」「ここにはパンダはいないな」 期待に満ちた言葉に否定が帰ってきて、小黒は一瞬口…
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37.動物園
蘇州の上方山森林動物園へは、駅からバスで向かうことになった。昨日は雨だったから心配していたけれど、無事に晴れて、気持ちのいい天気になった。少し早起きだったからか、小黒は珍しく行きのバスで眠っていたけれど、着いたらぱっと目を覚まして元気に歩…
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36.微笑の気配
夢の余韻は数日晴れなかった。実際に告白したわけじゃないのに、本当に振られてしまったような気分になってしまって、立ち直れない。夢でこうなるんじゃあ、本当に振られちゃったらもう生きていけない気がする。本当に、どうしてここまで思いつめちゃってる…
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35.桃花の夢
薄紅の花が咲き乱れていた。桜とは少し違う気がする。これが桃の花だろうか。「風が出てきたな」 花を揺らしていた風は彼の髪を揺らして吹きすぎていく。 私は彼の横顔から目を逸らせない。細い髪がさらさらと波打ち、光を反射して艶やかに光る。彼は私の…
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34.刀削麺
「刀削麺を食べたことはあるか」 確か、生地を専用の包丁で削って沸騰したお湯に入れる麺料理だったかと思う。首を振ると、彼はいい店があると言って歩き出した。ここは故宮博物院から少し離れたところにある西四大街だ。レストランがずらりと並んでいる。そ…
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33.紫禁城
「北京だと……やっぱり紫禁城を見てみたいです……!!」 无限大人と二人きり、という緊張感が、北京にいる、という興奮にじわじわと中和されていく。見るべき場所といえばやはり故宮博物院だろう。明や清の時代に皇帝が住んでいたという宮殿。ぜひ、この目…
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32.燕京の館
「では、行こうか」 そう言う无限大人の前には文様が刻まれた壁がある。転送門というのはそういうものだと聞いたことはあるけれど、実際に目にするとこれが門だとすぐには認識できない。「使うのは初めてか」 緊張気味の私に気付いて、彼はそう訊ねてきた。…
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31.求める住処
「湖にお住まいを希望なんですね」 今日訪れた妖精は、ずっと泣き続けていた。黄色いくちばしに、深い青みがかった緑の髪。肌は鱗で覆われている。河童に似ているかもしれない。深緑と名乗った彼女は、ぽろぽろと涙を零しながら言った。「だって、あそこは私…
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