96.甘い声
端末を手に握って、液晶画面を見つめ、そこから動けなくなる。いままで、どうやって電話を掛けていたっけ。无限大人の番号を選んで、通話を押して、呼び出し音を聞いて、相手が電話口に出たらもしもし、と声を掛けて――。 耳元で聞こえた无限大人の声を思…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
95.花満ちて
「小香、聞いてる?」「はい」 雨桐に顔を覗き込まれて、頷いたけれど、雨桐は呆れたように笑った。「聞いてないな」「聞いてたよ」「じゃあ何言ってたか言ってみ」「えっと……」「ほら、聞いてない」「ごめん」 聞いてたつもりだったけれど、雨桐に指摘さ…
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94.空の上で
何を言われたのか、すぐに理解ができなかった。だって、そんな、夢みたいに都合のいいことが現実に起こるわけなんてないのに。「……え?」 なので、馬鹿みたいに聞き返してしまった。无限大人は肩を揺らして笑う。少し離れたところで若水姐姐が見守ってい…
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93.再会、そして
「お帰り、小香。これからよろしくね」「うん。よろしくお願いします」 雨桐や、他の同僚たちは暖かく私を迎え入れてくれた。手続きなどの準備があったため、こちらに戻ってこれたのは1月になっていた。数か月しか離れていなかったのに、なんだか懐かしく感…
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92.本当の願い
日本に帰って二ヶ月が経ち、もうすっかり日常に馴染んでいた。向こうでの一年が、こうしてみると夢だったようにさえ思えてくる。こちらの職場はすぐに私を当たり前のように受け入れてくれ、館にいる妖精たちの顔ぶれも変わらず、今まで通りの日常が戻ってい…
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90.後悔
二人で出かける、と決めたものの、どこへ行くかまでは考えていなかった。彼女の行きたいところへ行きたいと思っていたから。任せてみると、彼女はショッピングモールを提案した。彼女は最初は遠慮気味だったけれど、次第に楽しそうにウィンドショッピングを…
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89.帰国
「また、連絡してよね」 雨桐に手を振り、キャリーバッグを転がして、エントランスへ向かう。 日本へ帰国する日。準備をしているうちにあっという間に残りの日々は過ぎてしまった。若水姐姐や深緑さん、いろいろな人に挨拶をして回ったら、みんな別れを惜し…
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88.別れ
「もっと、あなたと……過ごせたら……って」 やっとの思いで声を絞り出す。これだけで耳まで真っ赤になってしまう。无限大人は、薄く微笑んだ。「……もう、君は十分学んだよ。向こうで、こちらでの経験を活かして欲しい」 无限大人の声は優しく、突き放す…
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87.勇気を出して
緊張しながら電話を掛ける。数回のコール音のあと、通話がつながった。『小香か。どうした』「あの、お話したいことがありまして」 つかえながら、今度食事をしないかと誘った。无限大人は明日の夜に、と答えた。早い、と決意が揺らぎそうになったけれど、…
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86.伝えたい
「ようやく一段落ついたわね」 雨桐はお菓子の袋を開けながら溜息を吐いた。「目が回る忙しさだったねえ」 私も肩を揉みながら答える。八月も終わりになって、ようやく仕事が落ち着いてきた。「それで、どうなってるの」「何が?」「无限大人との進捗よ」「…
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85.どうして私を
「送っていくよ。小黒を迎えに館に行かなくてはならないしね」 そろそろ帰る時間になって、无限大人はそう言って一緒にホテルを出ることになった。こうして並んで歩くのも、もう当然のようになっているけれど、改めて不思議に思う。无限大人は、どうしてこん…
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84.見つめ返される
「こちらにきて、たくさんのことを学べました。同じ館でも、やっぱりいろいろやり方が違っていて……。すべてを適応することはできないですけど、一部はうちでやったらよくなるんじゃないかってことがありました」 こちらで学んだことを振り返って、帰ってか…
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