78.お返し
コーヒーとケーキが届いて、さっそく食べる。私はいちごのショートケーキ、无限大人はフルーツタルトだ。「あ、このお店のケーキすごく美味しい」 一口食べて、はっとする。ほどよいクリームの甘さといちごの酸味が絶妙だ。コーヒーも香りが立っていて後味…
夢小説 恋ぞつもりて 羅小黒戦記 色も无き花に香りを染めしより
77.プレゼント
「すみません。もっと楽しいところにすればよかったですね」「うん?」 コーヒーとケーキを頼んで、店員さんが下がったところで気になっていたことを伝える。无限大人は不思議そうな顔をした。「楽しくないか?」「いえ! 私は楽しいです! でも、无限大人…
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76.ショッピングモール
いつも通りの待ち合わせ場所に来て、无限大人と挨拶を交わす。でも、今日はどこへ行くのか聞いていなかった。駅に行くのかと思ったら、无限大人は街の方へ歩こう、という。「どこのお店へ行くんですか?」「はっきりとは決めていないんだ。君はどこへ行きた…
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75.猶予
豫園に行くとき、彼女はいつもと少し違う恰好をしていたのが印象に残っていた。パンツを穿いた姿が珍しかった。思い出してみれば、彼女はスカートの方をよく穿いていた。庭園を見ると、以前行った退思園を思い出させた。小黒もそうだったようで、小香と手を…
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74.瞳に魅入る
「そういえば、深緑さん、どうするか決まったんですよ」「いい場所が見つかったのか?」 お茶を置きながら、无限大人が訊ねるので、首を振った。「いえ。新しい湖へお引っ越しは、なしになりました。やっぱり、知らない場所に行くのは不安が強いみたいです。…
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73.カレーライス
ふと会いたくなって、勇気を出してこちらから誘ってみよう、ということになった。振り返ってみれば、最初にこちらから声をかけて以来、なんだかんだと誘ってもらっていることが多い気がする。ありがたいことだ。なので、こちらから連絡を取るのは緊張する。…
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72.夕焼けに飲み込んだ言葉
存分に泳いで、遊んで、日が陰ってきた。青い空に赤が混じり、風が涼しくなってくる。海からあがり、二人は水着から着替えて、海に伸びた堤防の上をゆっくり歩いていた。小黒はどんどん先に行き、カニかなにかを見付けてしゃがんでいる。「久しぶりにこんな…
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71.波打ち際と砂場
たくさん泳いだので、いったん休憩に浜辺に上がる。二人に飲み物を渡すと、二人そろってごくごくといっぱい飲んだ。上向いてペットボトルの中身を飲む无限大人の喉元につい目が行ってしまう。喉仏が上下して、冷たいお茶を流し込んでいく。髪が濡れて、ぺた…
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70.ポニーテール
「そろそろ着くよ」「はーい」「は、はい」 中でくつろいでいた无限大人が出てきて、小黒が元気に返事をする。私はどきっとしてどもってしまった。 だって、无限大人、今日は髪型をポニーテールにしている。頭の高いところで髪を一つに結び、動くたびに房が…
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69.海へ
潮風にワンピースの裾が広がる。柵に寄りかかって海を眺める小黒の隣に立って、柵に手をついた。「海だね!」「海だね~」 フェリーに乗って50分。東にある舟山諸島のうち舟山島に向かっている。風が強くて、髪がばさばさになるので手で押さえながら、遠…
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68.困ったお誘い
「それで、僕たちは考えましてね……」 館の食堂で、お茶を飲みながら最近親しくなった妖精と世間話をしていた。彼、朝陽さんは人になれないため館で暮らしている。もう数年になるそうだ。折れた耳と犬のように伸びた鼻が特徴だ。「こうすればいいんじゃない…
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67.龍遊石窟
龍遊石窟は公園の中にあった。入口でチケットを買い、道を歩く。途中、ツアーの一行とすれ違った。彼らにとって、漢服の私たちは珍しかったらしく、ちらちらと視線を感じた。民居苑の方はそんなに人がいなかったので気にならなかったけど、やっぱりそわそわ…
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